アンケート結果をストーリーに置き換える「マンガ共感型インフォグラフィック」

統計データなどをグラフィカルに発信するインフォグラフィックス。
今回はアンケート結果の新しい表現方法を探ります。

制作背景

アンケート結果は、数値として集計される定量データである一方で、設問の内容には目的に応じたばらつきが生じやすく、すべての設問を横並びにして比較することが適正なのか、悩ましく感じることがあります。

そのため、一般的なビジュアライズでは、「賛成◯%・反対△%」といった項目ごとの比率のグラフ化や、簡易的なカットイラストの挿入にとどまり、調査全体の傾向や、結果の背景にある文脈までを閲覧者が想像するには至りにくいという課題があります。

可視化研究所では、こうした課題を解決するために、アンケート設問をストーリーとして再構成する手法を検討しました。マンガ表現を用い、設問を主人公の行動に重ね合わせ、「賛成◯%」を「その行動に共感した人の割合」として置き換えることで、読者が自然に内容への理解を深められる構造を目指しました。

対象データ

今回使用したデータは、電通総研・電通未来予測支援ラボ「第3回クオリティオブソサエティ年次調査レポート」
2020年と2021年を比較して、生活の中で増えたものと減ったものを調査した結果です。

統計データ


出典:電通総研・電通未来予測支援ラボ
第3回クオリティ・オブ・ソサエティ年次調査レポート_p18

情報整理と工夫

設問と結果を一コマに整理

設問は、マンガの一コマとしてシーンに集約。
アンケートにおける「増えた/やや増えた」は、そのシーンへの共感と捉え、「わかる率」という表記に置き換えました。

マンガならではの柔らかい表現を活かし、若い年齢層にも親しみやすくなるよう、言葉遣いをカジュアルに調整。
主人公は中性的に描き、男女どちらにも重ね合わせられる存在としています。

全てのコマに情報を含まれるよう構成

アンケート結果を整理し、「増えた/やや増えた」の比率が高い上位1位〜4位は特に目立つように配置し、5位〜6位はストーリー上の補助的な要素として扱っています。また、最も「減った」と回答された設問についても、数値は用いず、ストーリーの一部として自然に組み込んでいます。

マンガ共感型インフォグラフィック

マンガ共感型インフォグラフィックス

インフォグラフィックを通じて、多くの人が不安を抱えながら過ごしたコロナ禍の時間を、前向きなストーリーとして振り返るきっかけになればと考えています。


マンガ共感型インフォグラフィック、いいなと思っていただけたら、制作は可視化研究所にご相談ください。
※印象をある程度固定する表現形式のため、ご活用の際は実際のアンケート結果と併せての発信をおすすめします。

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