統計データなどをグラフィカルに発信するインフォグラフィックス。
今回は、アニメーションを用いた比較方法を探ります。
制作背景
期間/対象者/地域などの複数の情報が絡み合ったデータを、インフォグラフィックを通じて「多くの人に興味を持ってもらえる形」に落とし込む場合、使用するデータ範囲を制限することがあります。
しかし、どこを切り取るべきかという判断自体が難しく、一部のデータだけを取り上げてしまうと、全体の情報が活かされず、もったいないと感じることもあります。
可視化研究所では、こうした課題を解決するために、複数項目の数値をアニメーションの可動域に割り当てた仕組みを検討しました。
数値によって変化する愉快なアニメーションは、視覚的にニュアンスを掴む手がかりとなります。
また、グラフ表現に対して求められる厳密な正確性への意識を、キャラクターやピクトグラムの“動きだけ”で表現するアニメーションに置き換えることでやわらげ、統計データへの関心を喚起する入口として機能する構造を目指しました。
対象データ
使用したデータは、マクロミル調査の、日本、中国、台湾、韓国、インドネシア、タイ、ベトナムの各地域における生活者の意識や消費行動を継続的に追ったものです。
今回はその中から、日本・台湾・インドネシアの「一週間の気分」に関する調査結果を選定しました。



出典:マクロミル調べ(Macromill Weekly Index Asiaより)
アジアの生活者の「今」がわかる
下記でご紹介するアニメーションはデモ版として、対象期間は2023年1月〜2月の8週間分を制作しています。
情報整理と工夫
感情のデータを入力して「歩き方」をつくる

8つの感情のデータから算出した2ヶ月分の数値を、人型ピクトグラムの関節(頭/腕/胴体/脚)の可動域に割り当て、アニメーション化しています。
・頭は上を向くほど「嬉しい」、下を向くほど「悲しい」
・腕は振り幅が狭いほど「落ち着きがある」、広いほど「腹を立てる」
・胴体は反るほど「楽しい」、前屈みなほど「不安」
・脚は歩幅が狭いほど「憂鬱」、広いほど「わくわく」
感情のデータを、歩くアニメーションに入れ込むことで、直感的に「とぼとぼ歩いていて元気がなさそう」「常にハツラツとしている」など、気分の大枠を感じ取れます。
可動域パラメーターでキブンの可視化

可動域にデータを入力することで、それぞれの特徴がアニメーションに表れました。
アニメーションの下部にはメーターも設置し、連動する項目が視覚的に判断できるようにしています。アニメーション画面には数値を表記せず、下記の「可動域パラメーターの仕組み」で説明をしています。

このインフォグラフィックは、アニメーション→仕組みの解説→元の情報源 へと、見る人の関心が移ることを理想としています。
大切なポイントは、「インドネシアの人は明るい」といった結論づけは避け、動きの比較・観察を通じて、「何が起きているのか」を自ら調べたくなるような構造を意図している点です。
例えば、日本とインドネシアを比較してみると
- インドネシアは大きなモーションで歩いているように見えますが、腕のみに注目すると日本の方が大きく振っています。
- 腕に何の数値が反映されているか疑問に持ち調べてみると、腹を立てるほど大きく振ることがわかります。
- そこから「日本人はストレスを抱え込みやすいのではないか」という結論が観察者の中に生まれます。
日本と台湾を比較してみると
- 日本は、年明けのお正月に「楽しい(fun)」の数値が急上昇するのに対し、台湾は年明けに不安を抱えている
- そこに疑問を抱いた観察者は、1月の台湾のニュースを検索し、何が起きていたのかを調べたくなる。
アニメーションにはあえて具体的な数値を記載せず、制作者の解釈も加えない。観察を促す仕組みだけを備えた「可動域アニメーション・インフォグラフィック」は、情報量の多い統計データにも対応しつつ、クリエイターが工夫を凝らせる余地を残し、データ元への関心を促すクリーンな発信を実現できるのではないでしょうか。
可動域アニメーション・インフォグラフィック、いいなと思っていただけたら、制作は可視化研究所にご相談ください。






